病床にありて春野にゐたりける
四六判・208p・上製カバー・本体2700円+税
2017年3月10日発行/ISBN978-4-8129-0933-1
装丁・田中淑恵
病床での療養生活は不自由だが、時間だけはたっぷりある。
時間がありすぎるとかえって余計なことを考えてしまいがちだ。
病気のことが頭から離れなかったりもする。そんな中で、
のどかな春野を思い浮かべれば療養生活もずいぶん明るくなるに違いない。
……この句を見ると芭蕉の〈旅に病んで夢は枯野をかけめぐる〉の句が
思い出される。病床にあって、芭蕉は枯野、作者は春野である。
今は、わび・さび、無常の世界より命あふれる春野の世界を採りたい。
__「槐」主宰 高橋将夫「序にかえて」より
